FIP診療
猫の伝染性腹膜炎(FIP)について
猫の伝染性腹膜炎(FIP)とは、猫コロナウイルス(FCoV)に感染し、突然変異を起こすことで引き起こされる免疫介在性疾患です。
若齢の子や多頭飼育下で発症しやすく、発症すると致死率は非常に高い難病です。⻑年、効果的な治療法がありませんでしたが、近年は新たな治療法も出てきていますので、是非お早めにご相談ください。
猫の伝染性腹膜炎(FIP)の症状
猫の伝染性腹膜炎(FIP)は「ウェットタイプ」「ドライタイプ」「混合タイプ」の3つに分けられます。 タイプによって様々な症状が出ますが、熱、体重減少、食欲不振、抑うつなどの症状が最も多いです。
主な症状 | |
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ウェット タイプ |
腹水貯留による腹囲膨満、胸水貯留による呼吸異常、 黄疸、発熱、食欲低下、貧血、嘔吐、下痢 |
ドライ タイプ |
発熱、貧血、内臓の肉芽腫性炎による症状(てんかん発作、 腎不全、肝不全、消化器症状、ブドウ膜炎) |
混合 タイプ |
腹水・胸水、腹部臓器に肉芽腫のどちらの特徴もある症状 |
治療について
薬による治療
今までの獣医学ではFIPの治療法は確立されてなく、ステロイドやインターフェロンを使用し、症状の進行緩和や延命を目的としていました。しかし、近年FIP治療に効果のある薬が出てきました。その薬を使用している論文によると、
・生存率 82.2%
・84日投薬終了後の再発率 2.5%
という良好な治療成績が報告されています。
予防について
猫の伝染性腹膜炎ウイルスは、人の新型コロナウイルスの予防方法と概ね同じで、下記のような方法があります。
飼い主様の手指消毒
猫に触る前にアルコール消毒をすることで、ウイルスの伝染を防ぐことができます。
飼育環境の改善
多頭飼育下でトイレを共有するとFIPウイルスの伝染が起こりやすいです。また、ストレスが多いほど免疫力が低下します。そのため、飼育環境の改善が予防において重要です。